Spain Guitar Online Shop 店長ブログ

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マリアーノ・コンデ~コンデ・エルマノスの行方~

2010年、コンデ・エルマノスのフェリペェ工房が、フェリペとマリアーノ

とに分裂しました。

こちらの映像は、マリアーノ・コンデのプロモーション用のビデオ

です。



コンデ・エルマノスは、1つが4つに分裂しました。

グラヴィーア工房と、フェリペ工房は、従来どおり魅力的なギター

を製作しておりました。残り2つは、かなり怪しいとの噂・・・

したがって、コンデ・エルマノスでも単にコンデだけという出所不明

なギターも存在していたようです。

グラヴィーア工房とフェリペ工房は、評価も高かったので

コンデを求めるならこの2つのいずれかになるでしょう。



さらにその1つのフェリペ工房がフェリペとマリアーノの

2つに分裂したので合計5つ、現在工房があるようです。

上記のとおり実質は、3つということでしょうか。



とどのつまり工房が巨大化し、利益優先になるにしたがって

親戚同士での内乱でこのような結果になっているようです。

ラミレスも同じで、数を生産して利益を上げる仕組みを

作った結果、あまりいい評判はききません。

数10年前は、ラミレス派、コンデ派の2つに集約される

ほどプロギタリストの愛用者も多かったようです・・・



パコ・デ・ルシアがコンデだけを使っているかと

いったらそうではないですし、デヴォーなんかも使ってますし。

彼は、昔のコンデをリペアして使用しているといったところでしょうか?



ギターは、生き物、生ものですし、

製作家の好、不調もあるでしょう。

風邪をひいたときに作ったものは微妙かもしれません。

それは、ほんとうに分からないですし、

コンディションによると思います。


ギターには、よく当たり、ハズレとかよく聞きます。

これは、当たりのギターだ!とかハズレだとか・・

でも、これもなんの根拠もなくて、弾き手がすごーく体調よくて

気分よかったら当たりだ!って思うかもしれません。

絶対的な基準なんかなくて、その人が持っている経験やらなんやら

から得られる相対的な尺度でしかなく

完璧を求めることは全く持って不可能でしょう。


これが工業製品だったらどうか?

車や家電、これなら安全基準もあるし、センサーの調子、レスポンス、

使いやすさなどを見れば、これはいい商品だ!

と言えるでしょう。

数値化できる尺度がそこにはあるので、性能を評価することは

たやすいのです。



この考え方をギターにもってくるのは、おかしなことで、

価値基準なんて正直ないのが現実。

値段の違いは、木材、つまりはマテリアルの希少価値が大部分でしょう。

もちろん、製作家の腕の良さ、悪さというのは存在すると思いますが、

ある程度の技量があれば、それは拮抗せざるを得なく、

あとは好みの問題となるのではないでしょうか?

製作家も脂の乗った30~50代で製作したのと、

疲れきった70代で作製したものでは全く違うでしょう。


ギターの製作は、ワインと似ていると思います。

同じブランドであったとしても

不作の年であまり良質なワインができない年もあれば、

豊作で実に素晴らしいワインがあります。

しかし、この不作の年であってもそれなりのレベルに持ってくるのが

一流のワインメーカー、ワインブランドなのではないでしょうか?


ギターもワインと似ているところがあって、

人の手によるものですから個体差というのはあるでしょう。

100本作って、それからチョイスできるのであれば満足もいく

のかもしれません・・

大量生産品ならばそれも可能でしょう。


ごく少数のギターしか作っていない、作れない、それは人の手による

ものであるから・・そのような工房で製作されるギターは、

魂こめて一本、一本作っています。

ですから、いい加減なものはないのです。

これは、長年、スペインギターの製作現場を見てきた僕としての

見解です。


マリアーノ・コンデも大量生産を嫌ってブランドを守るための意地、

これで分裂→独立したのでしょう。

僕は、彼の作るギターからそのようなインプレッションを感じています。