今回は、新日本プロレス50周年記念「シンニチイズムミュージックフェス」で大活躍したアンダルシアンギターについて、なんと渡辺香津美さん直々の長文コメントと共に紹介します!
イベントの詳細レポートはこちらの記事が参考になります。
動画は、こちらが参考になります。
※動画冒頭のギターがアンダルシアンギターを使った渡辺香津美さんの演奏(一部)です。
2022年11月17日(木)、この日は、本当の意味でのアンダルシアンギターの日本上陸と言っても良いかもしれません。
初入荷が2014年ですから、かれこれ8年、やっと、やっとです!(笑)こんなことは一生に一度あるかどうかですよね、一度に数千人の人達の前に
アンダルシアンギターがお披露目され、
日本を代表するジャズギタリスト・渡辺香津美さんによって1曲演奏される、
こんなことはもうそうそうないと思います。
しかも、プロレスのイベントで音楽ファン以外の方の目にも留まり、
それがSNS、ネット配信やメディア媒体を介して全国に届けられる。
感無量としか言いようがないです!
アンダルシアンギターの登場は、ライブの中盤において、後半に差し掛かるアクセント的な位置です。これまでのエレキギターのディストーションサウンドからガラッと変わり、メキシコ出身のマスクマン、エル・デスペラード選手の入場曲、"Aguja De Abeja"のイントロが流れると空気が一変しました。
礼儀正しいエル・デスペラード選手の紳士的な所作による入場アピールと、
香津美さんが奏でる切れ味鋭いアンダルシアンギターのサウンドとが一体となることで、エル・デスペラード選手が、力強くも気品溢れる人間性を備えた人物であることが
非常に象徴された素晴らしいパフォーマンスとなっておりました。
今回のイベントはあくまで音楽が主役、でもこれはレスラーありきのことなので
相互のリスペクトによって完結するストーリー、最後の最後までその精神が貫かれた
極上の演出でした。
3時間の長時間イベントにおいて、素晴らしい後半戦のオープナーになっておりました。こちらの様子、写真はSNSや上述した記事にも掲載されております。
また、香津美さんからの情報によると年内にBS朝日で放送される予定になっているとの
ことでした。分かり次第、詳細な情報を伝えさせていただきますので楽しみにお待ち下さい。
それでは、ここからが本題です!
なんと渡辺香津美さん、ご本人様により、アンダルシアンギターとの出会い、そして今回のイベントの様子を詳細に記した大変貴重な超長文コメント(素晴らしい短文エッセイ)を頂戴いたしました!
全文、そのまま掲載いておりますので、是非とも読んでいただきたいです。
10代の頃から存じ上げている香津美さんにこのように関わっていただき言葉がないです。カッコいいお写真も頂きました!
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"アンダルシアンギターとの出会い"
僕が新しいギターを購入するキッカケは、例えば楽器店で試奏してそのまま気に入って…という場合もあるが、やはり「次のレコーディングで使いたい」とか「来るべき○△のライブで弾きたい」というのが、大きなモチベーションになっているのは間違いない。
数ヶ月前「新日本プロレスが創立50周年を記念して《シンニチイズム ミュージックフェス》というのを開催する。歴代・現役選手の入場曲を、全曲生バンドで演奏しようという企画だが、ゲストギタリストとして参加して貰いたい。香津美さんには、エル・デスペラード選手の【Aquja De Abeja】というスパニッシュタッチの曲を弾いてほしい」という依頼があった。送られてきた音源を聴くと(ギターはサンプリングの打ち込みとの事だったが)確にラスゲアードやトレモロ、速弾きを駆使した演奏である。ナイロン弦のギターは何台か所有しているが、バンドの爆音の中で弾くとなると、(自分もギターも)相当の覚悟が必要になる。
普段のライブで使っているWaterRoadのナイロン弦エレアコは、ジャンゴやボサノバ、ジャスを弾くには最高だが、もう一声(ひとこえ)フレーズをリングマットに叩きつけるようなアタックと斬れが欲しくなる。その時、沖仁君に紹介してもらった《ノブロック弦》の販売元であるSpain Guitar Online Shopの事が脳裏に閃いた。早速サイトにアクセスすると、以前から気になっていた《アンダルシアンギター》のページを開いた。最初に目に飛び込んできたのは、真っ赤な《Marcelo Barbero 1948》というモデルのギター。シングルカッタウェイ、しかもCarlosピックアップがインストール済みとある。コメントを読むとアル・ディ・メオラがスーパーギタートリオで使っていた《コンデエルマノス》のデザインにインスパイアーされた楽器?と勝手に解釈。「僕のためのギターじゃないか!」。店長の田村さんにメールして、楽器を軽井沢のアトリエまで送ってもらって暫く試奏することになった。
手の小さい僕にとって660mmの弦長は初めてだったが、指板のラディアス形状も相まりレスポンスの速さは快適で、杞憂は消し飛んだ。あとは、バンドの轟音の中で弾く際のハウリング問題さえクリアーしてくれれば。リハーサルに向かったスタジオでの初めてのサウンドチェック。エレキベースやキーボード、ドラムセットに囲まれた中でCarlosは頑張った。「これならステージでも充分いける」との感触を得る。
そして本番の日を迎えた。だがステージでのサウンドチェックで愕然とした。バンドの音量が半端ない。リハーサルの時の3倍は出してる?という本気の音圧。流石のCarlosもマイク成分を増やすとハウリが兆(きざ)す。思い切ってピエゾのEQを全開にしてバランスを取ってみる。するとモニターからギターがガンガンに聴こえ始めた。これなら勝負できるぞ!との確信。あとは心を無にして奏でるのみ。
開演から小一時間ほどで出番になった。ステージの中央まで進み、椅子に腰を下ろす。僕からのカウントでバンドのリズムが走り出す。何かに導かれるように、指はバーズアイメイプルの指板の上を縦横無尽に駆け巡った。エンディングの一打が決まると、歓声と拍手で周囲の光の輪が眩しい。気がつくと、目の前にエル・デスペラードが立っていた。
この夜の僕のパッションを全て受け止めてくれたアンダルシアンギター、これからも良き相棒となってくれることだろう。
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感動に浸りながら今回のブログを閉じたいと思います。
店長