Spain Guitar Online Shop 店長ブログ

アンダルシアンギター日本総代理店。スペイン製フラメンコギターをはじめコンテンポラリーなガットギターを豊富に選べるお店です。 Knoblockギター弦、角南ギター、エルマノス・カンプス、ファン・モンテス、サンチェス・ロペス 取扱店。遠方の方にも安心のオンラインでお届けします!お近くの方はご予約にて試奏対応しております。

フラメンコギターへの挑戦(独学編)

 はじめに、ここではフラメンコギターにどうやって組していったらいいのかということを、素人の店長があくまでもアマチュア目線で語っております。第一線で活躍している方からすれば、冗談じゃない!と思われるかもしれませんが、出来損ないのアマチュアのたわごとなのでどうか広い心でどうかご容赦願いたいと思っております。

 
 挑戦者のターゲットとしては、日本で暮らし、日本を終の棲家と考えている方でフラメンコ愛は誰にも負けない!という自負のある方としております。フラメンコギターはとっても難しいのでやはりイージーにはできないものなのです。(※特に、東京近郊に住んでおらず、フラメンコギターを学ぶ環境に恵まれていない方を念頭に考えて記載しております。)



1.イントロダクション

 ナイロン弦ギターを使った演奏の最高峰、最高難度といえばフラメンコギターかもしれません。もちろんクラシックギターも同様に段階的に技術的レベル、音楽的レベルの高いものも存在します。他には、バーデン・パウエルに代表される非常に技巧的で速いテンポのブラジル音楽なども相当な難易度です。

 ただ、フラメンコギターは最初から難しいのです。例えば、クラシックギターは、難易度は低いが音楽的に優れたエチュードなどがたくさん用意されておりシステマティックに段階的に学習することができます。これに対し、フラメンコギターは、いきなり音楽の根源でもあるリズムが難しいのです。これができなければ、いくらフレーズ(ファルセータ)を学び知識として持っていてもそれらしい音楽にはならないと思います。
 
 音楽の3要素、リズム、メロディ、ハーモニーと言われますが、踊りの絡んだ大衆音楽は1にも2にも3にもリズムだと思います。フラメンコ然り、R&B、ソウル、ファンク、ディスコ、ポップス、アルゼンチンタンゴ、etc.... これを徹底的に鍛錬しないと先に進んでも(新しいことを覚える)全く意味がないように思っております。しかもそれは必ず正しい方向であること。

 もちろん、指、手、腕、身体といった運動機能を高める基礎的なテクニック練習は別途必要だと思います。これはテキストやら教則本などが数多く出ていますのでクラシックギター用のものが特にお薦めだと思います。スコット・テナントの教則本なんか最高だと思います。
 
 
 
 

ただし、一人ではフラメンコギターを学ぶことは困難です。
 


2.どうやってフラメンコギターを学ぶ?

(A) 
一番良いのは、スペインへ何らかの手段で入国し、日本人に教えてくれるかどうかも分からないけれど食らいついてホンマもんのレベルの高いギタリストに無期限で(ビザが許す限り)弟子入りすることだと思います。これをしてる人は日本でも数名じゃないかなぁ~と思います。(一部ここでは書けないような話もある極めてレベルの高い場所です。)まあ、レベルが段違いのギタリストになれることは間違いなしですね。
 
(B) 続いては、
スペインの音楽学校(大小さまざま)みたいなところで教えてくれるフラメンコギターなのかなぁと思います。語学留学しそのビザを使って数か月の滞在でフラメンコギターを習う。極めて安全性も高くおススメできるコースかと思われます。これを1年の間に複数回行けば結構なことが学べると思います。日本人で講師されている方はこういう感じが多いかもしれません。


 さてさて、私の
ようにスペインへ頻繁に留学するお金もままならず、物理的時間をも確保することが難しい一般ユーザーのみなさん。ここからが本題です。(A)案、(B)案も現実的ではない!そんなことできるはずもない!という場合が大多数でしょう。そうしたら、これは日本にいてとことん情報を集めて練習するしかないのです。



3.日本で学べるフラメンコギター

3-1.日本の教則本で習う
 日本人によって執筆され日本の出版社から発行されたフラメンコギター入門的な教則本があります。フラメンコギターについて全く分からない初学者にとって有益な情報を得られたり付属のCDで実際の様子も知ることができます。
 ただここに記載されているようなことは、Youtubeを見ればもっと分かりやすい形態で解説がなされていると思うので、参考までに・・・といったところでしょうか。


3-2.日本人、または日本在住のスペイン人から直接習う
 例えば、スペインの留学経験があり、さらに毎年スペインで数か月間、勉強してきているというような先生が身近にいたら、これはそこへ駈け込んで弟子入りすれば良いと思います。間違いないです。中にはあまりスペインで定期的に学んで来ていない方もいるようなので、その場合は、前者の方を強くおススメします。
 またもっとレアですが日本在住のフラメンコギターを弾けて教えることができるスペイン人がいたら、それは本当にラッキーです。この方からたっぷり習って下さい。


3-3.スペイン製のDVD、教則本で習う
 2000年前後から2015年あたりまで、かなりの数のフラメンコギターのレッスンDVDがスペインで販売されておりました。日本へもほとんどが輸入されており複数枚所有されている方もいらっしゃると思います。なかなか良質なものがある一方、そうでないものもありました。中には日本語字幕もある便利なコンテンツもありましたね。これらを所有しているのであれば、こちらを再度有効活用する手もあります。
 実は、これらのDVDコンテンツは、販売が激減しております。DVDからBlue Rayへとハードウェアが移行しましたが、コンテンツの方はこれに追従しませんでした。コンテンツによってはネット配信のストリーミングとなっているのもあります。こちらの方がDVDを適したフォーマットへ変換することもなく、お手持ちのPC、スマホタブレットなどで視聴することができるので実用的かもしれませんね。


3-4.スペイン人からオンラインで習う
 スペイン語が分かる方、もしくは英語のスピーキングが得意な方は、スペイン人と直接オンラインで授業を受けることができるようです。こちらは、スペイン語の問題があるのでなかなか難しいかと思います。アンダルシアンギターでおなじみのRuben Diazもずいぶん前からSkypeを使ったオンラインレッスンをしております。習いたい方がいらっしゃれば、こちらから彼に繋ぐこともできます。



3-5.インターネット上のコンテンツで習う
 最もおススメなのがこのインターネット上のコンテンツを利用する方法だと思います。DVDでのレッスンが衰退している現状において完全にインタラクティブでなくても、メールなどを使えば準インタラクティブな程度で質問もできるだろうし、無料コンテンツが充実しているWebサイトもあります。なにしろ、有名なトッププロからほぼダイレクトで指導を受けられるのは夢のようでもあります。以下、現時点で店長が知る限りのWebサイトを紹介していきます。


 1).  まず、”ELITE GUITARIST”というWebサイトでは、オンラインでのビデオコンテンツによるレッスンを展開しているようです。https://www.eliteguitaristflamenco.com/
 
 料金は月間、もしくは年間のサブスクリプション契約となっているようです。値は張りますが終身会員もあるようです。ここでは、Advanced Level になるとあのAntonio Reyのレッスンビデオを視聴できるようです。他には、講師としてホセ田中さんなどがエントリーされています。

 2).  続いて、”
online flamenco”というWebサイトでは、同じく月間、年間のサブスク契約にてビデオコンテンツによるレッスンが受講できます。https://onlineflamenco.com/
 
 こちらは、時々、ダウンロードコンテンツとしてレッスンのパッケージを格安で販売していることがあります。InstagramFacebookなどのSNSで時々宣伝をしておりますので、こちらの方が永久に使えてお買い得だと思われます。講師としては、Paco Serrano, Javier Conde, Tino Van Der Sman, Chicuelo, Gabriel Exposito など有名どころを揃えています。

 3).  最後に、最も秀逸なのは、”
Flamenco Explained” というWebサイトです。こちらは、スペイン人ではなくアメリカ人の Kai Narezo と Scott Wolf によって運営されている書籍、Youtube チャンネル、Webサイトからなる複数メディアによるフラメンコギターレッスンコンテンツとなっております。
 
 上記2つの完全なるスペイン人のフラメンコと比較した場合、ややクラシックギター寄りのプレイスタイルであるのが気になるところではありますが、どっちらかというと日本人(つまりスペイン人ではない)が演奏するフラメンコに近いように感じられます。
 
 ただ、系統立てて構築されているコンテンツの数々は、非常に取り組みやすいと思われます。なにしろ、コンテンツの量が圧倒的に違います。しかもフリーコンテンツが盛りだくさんです。

 3)-1.Youtubeチャンネルとしての ”
Flamenco Explained
https://www.youtube.com/@FlamencoExplained/videos
 更新が止まってしまっているので今後の運営が気になるところではありますが、なんといっても蓄積されたコンテンツがたくさんあります。しかもYoutubeなので操作性もよく一番とっつき易いレッスンビデオコンテンツといえるでしょう。

 3)-2.  オリジナルWebサイトとしての”
Flamenco Explained” 
https://flamencoexplained.com/
 こちらは、著者本人にとってはメインコンテンツなのでしょう、圧倒的なビデオの量です。基本的には、月間または年間契約のサブスクとなっております。こちらは未登録のため利用したことがないのですが、年間$199なのでべらぼうに高いわけではないと思います。たしか無料期間もあったように思います。
 
 3)-3.  完全フリーコンテンツとしての”
Flamenco Explained
 さて、このメインコンテンツの中には、
完全フリーのコンテンツ群が存在しております。
 
https://learn.flamencoexplained.com/free
 こちらは、お腹いっぱいなくらい圧倒的です。基本的には各パロ(曲種)のパフォーマンスになっており、とりわけ有料コンテンツでの解説へのイントロダクションとでも言うべき内容となっています。演奏が気に入ったら有料コンテンツを購入してみるのがいいと思います。
 
 また、こちらのフリーのコンテンツ群の中には、書籍版の
Flamenco Explainedに準拠したコンテンツへもアクセスすることができます。



 こちらは一般的な教則本の類で全編英語ですが極めて平易な英語。しかも譜面(TAB譜付き)の方が多いため、英語が苦手な方でも無理なくトライすることができると思います。書籍がなくても、フリーの動画だけでも結構学べると思われるので、ぜひアクセスしてみてください。
 書籍準拠のフリーコンテンツ:
https://learn.flamencoexplained.com/free/season:2



 まとめると、完全スペイン系のWebコンテンツは、これぞ本場スペインのフラメンコギター!とうなずける内容になっておりますが、Webコンテンツの構成やコンテンツの充実度など費用対効果の面で分が悪い感じがします。セール期間があるものもございますので、チャンスが巡ってきたら購入というのもありかと思います。

 一方、Flamenco Explainedの方は、コンテンツの充実度、価格ともに申し分がなく、それなりの成果が出しやすいのではないでしょうか?ただ完全スペイン系と比較すると、どうしてもスペインを基準と考えた場合の外国人がやっている演奏(日本人に近い)になっていると言わざるを得ません。

 両者を併用するといいとこどりも不可能ではないかもしれません。海外ではコロナ禍、そしてコロナ禍より前から音楽系レッスンコンテンツが異常なくらいに発達しております。一流どころのギタリストがビデオコンテンツにてレッスンを展開してくれるものが音楽のジャンルを問わず激増しているので、これは利用しない手はないと思います。そういった意味で、英語の学習というのは、自分自身のためにも今後一層必要になってくると思われます。
 
 
 
店長